「より楽しく気持ち良く」……ライダーの声に高次元で応える。
「より楽しくオートバイに乗りたい」音、乗り味、鼓動感。求める理想像はライダーの数だけある。 オーナーと愛車、それぞれの「個」を重視した一台を高次元で創り出す。 大げさで、使い古された言葉かもしれないが 「あなたの夢をカタチにする」のがラジカルの仕事だ。
■内海さんのDRZってDRZなんだけど全然DRZじゃないというかこの世に一台ですよね。
内海 もともとツインとか単気筒が好きだけど世の中には僕が乗りたい単気筒スポーツがない。でも欲しい。じゃあ作るしかない。だから僕のDRZは自分の欲望をカタチにしただけ（笑）。
■夢のバイクを自分で作れちゃう。
内海 今まで仕事で作ってきた……いわゆるカスタムすることでグレードアップはしてるけどZはZでカタナはカタナ。その路線からは外れていない……というものではなく、DRZは全然違うカテゴリーにしてしまうことをしてみたかったというね。
■これぞチョッパーですよ。
内海 チョッパーっていうと日本人の先入観だとアメリカンですけど、全く違うものにしてしまうという意味ではやっぱりチョッパーなのかな。
■カブとかちっちゃいバイクだと自由度があるじゃないですか。でも400になると「これがこれ？」みたいなサイズ感がある。DRZはエンジンだけ？
内海 フレームとスイングアームもそのままです。最初は前後17インチですげー面白いのが出来たんですけどあまりにもハンドリングがシビア過ぎた。直線ハイサイドでぶっ飛んでこれはヤバいなと。
■直線ハイサイド！ 怖っ！
内海 オフ車のフレーム。ケツは下げたけどキャスターが立ち過ぎてトレールが極端に少ない乗り物になっちゃって。でも乗ったら乗れる。ハンドルに掴まっていれば。
■まあそうでしょうけど（笑）。
内海 ちょっと危ないなと思いながらも乗ってたら案の定。それからいろいろ換えました。
■寝かすんですか伸ばすんですか。
内海 若干長めのフロントフォークに換えてホイールを大径化した。今はカタナの19インチがついてます。もう全然平気ですよ。結果いいものになった。ほぼ完成形。とっても楽しい。
■この世に一台の自分仕様……夢バイク……内海号って実はムチャクチャ贅沢ですよね。
内海 実は完成されて安心出来る乗り物ってあまり好きじゃないの。単気筒の「お前ピストン１個しかないけど大丈夫かよ？」って言いたくなるような頼りなさが愛おしい。
■見えますよね、ピストン１個が歯を食いしばってる感じが。
内海 マルチより単気筒２気筒のほうが自分の心臓の鼓動にはシンクロします。大学を卒業して福田モータースに入った時に出会ったハーレー、BM、ドカのパンタにDB1ってあのへんの、オートバイなんだけど人間味というか生き物的な感じが凄く自分の中に入ってきた。
■内海さんにはそこに寄っていける心がある。
内海 コンピュータとかロボットが作ったんじゃなく人間が組み上げたエンジンだなみたいな。単気筒と２気筒は人間との距離が近いと思う。
■実際選んでますね。
内海 ４気筒の200馬力。確かにパワーはある。でも僕のDRZなら……アクセルを開けて、開けたぶん燃料がいって、ピストンがダダンッ！って力として後輪に伝わって前に進む……っていうのをリニアに感じられる。マルチしか乗ったことがない人に「これがオートバイの楽しさなんだよ！」って教えてあげたいから友達に乗せたりもしてる。
■四発もキレイに回ると気持ちいいけど。
内海 キャブレターの同調とかバランスもキッチリ合わせて、モーターのように滑らかにってのも魅力でしょうけど俺はちょっと違うんだなあ。距離がある。気筒数が多くなればなるほど離れていってしまう。
■６発はどうするっ！
内海 すげー遠いところにいますねえ（笑）。人それぞれ好き嫌いはあるから、まー、たまたまDRZだったのかもしれないし。もう１台、ちゃんとしたオフ車が欲しいんだよね、CRF450とか。
■誰がOK出したんだよ？ってカタチのバイクが見たいです。
内海 次はそれ作りますかね（笑）。250Lでもやってみたい。オフ車はだいたい５速だけど公道仕様にするのにホンダはわざわざ６速にしてきた。あれはロードバイクにしたら面白いと思いますよ。
■ハイサイドを喰らいながらも進化する。やっちゃえウチウミ、やっちゃえラジカルじゃないですか。
内海 メーカーに期待しててもしょうがない。自分で欲しいバイクは自分で作ると。感覚が合致する人がいれば作りますよ。
